こんにちは。画家のムライです。
最近はアクリル絵の具を使って、
半抽象的な作品を描いています。
パレットナイフを使ってみると、
筆とは違う偶然の形が生まれて、
描くたびに新しい発見があります。
今回はパレットナイフ初心者が、
半抽象画を描くときに意識したい、
三つのポイントをご紹介します。
初めから細部を意識し過ぎない
パレットナイフで描いていると、
形を整えようと手数が増えていき、
細かく触りすぎることがあります。
しかし手数を増やしたからといって、
必ず作品が良くなるとは限りません。
何度も同じ場所を触ってしまうと、
最初にできた勢いのある形が消え、
画面が重く見えることもあります。
パレットナイフの大きな魅力は、
大胆なタッチを残せることです。
筆を使って丁寧に描くときより、
最初は思い切ってナイフを動かし、
大きな面を作るようにしています。
慣れないうちは絵の具が広がり、
思い通りにならないこともあります。
それでも失敗だとすぐに判断せず、
一度離れて眺めることが大切です。
描いた直後は気になった部分でも、
時間を置いてから見直してみると、
意外と面白く感じる場合があります。
また半抽象画を描くときには、
現実的な遠近感や形の正しさを、
意識しすぎなくても構いません。
現実らしさから少し離れることで、
抽象的な形や絵の具の重なりを、
自由に楽しめるようになります。
ナイフを同じ方向から動かすと、
画面全体が単調に見えやすいため、
角度を変えることも意識しています。
上下や左右だけに限定しないで、
斜めや曲線を取り入れていくと、
画面に自然な動きが生まれます。
アクリル絵の具は混ぜすぎず鮮やかな発色を残す
アクリル絵の具で描いていると、
理想の色を作ろうとしてしまい、
何色も混ぜたくなることがあります。
色を混ぜること自体は悪くなく、
落ち着いた色を作るためには、
とても便利な方法だと思います。
ただし何色も混ぜ続けてしまうと、
次第に色がくすんでしまいます。
特にパレットナイフの場合には、
キャンバスの上でも色が混ざるため、
想像以上に濁ることがあります。
私は絵の具が持つ発色の良さを、
できるだけ残すようにしています。
パレットの上で完全に混ぜないで、
二色が少し残っている状態のまま、
キャンバスへ載せることもあります。
絵の具を混ぜずに隣り合わせると、
少し離れた場所から見たときに、
色が自然になじんで見えてきます。
印象派の絵画を眺めているような、
明るく変化のある表現になるため、
半抽象画にも取り入れやすいです。
すべての色をきれいに混ぜずに、
混ざった部分と混ざらない部分を、
両方残すことがポイントです。
偶然できた色の境目や重なりも、
パレットナイフならではの魅力です。
アクリルガッシュの厚塗りはひび割れ対策を行う
アクリルガッシュとは
アクリル絵の具とは少し異なり、
不透明でマットな質感を持つ絵の具です。
パレットナイフを使っていると、
絵の具を厚く盛り上げる表現を、
試してみたくなることがあります。
表面に凹凸ができる厚塗り表現は、
光の当たり方によって印象が変わり、
作品に存在感を与えてくれます。
ただしアクリルガッシュの場合は、
厚く塗りすぎると乾燥したあとに、
ひび割れが起こることがあります。
アクリルガッシュは平らで均一な、
つやを抑えた仕上がりが特徴です。
その反面、一度に厚く塗った場合は、
表面と内側の乾き方に差が生まれ、
塗膜に負担がかかりやすくなります。
アクリルガッシュを使いながら、
厚みのある表現を取り入れたい場合、
専用のメディウムを使用します。
厚塗り用のメディウムとは、
絵の具に混ぜて使用するための、
透明なジェルのような画材です。
絵の具だけを大量に重ねるよりも、
メディウムを混ぜて厚みを出す方が、
ひび割れの危険を抑えられます。
一般的なアクリル絵の具の場合は、
アクリルガッシュと比較すると、
多少の厚塗りには向いています。
それでも一度に厚く盛りすぎず、
薄い層を乾かしながら重ねると、
より安心して制作を続けられます。
厚塗りした部分は表面が乾いても、
内側が完全に乾いていない場合があり、
十分な乾燥時間も必要になります。
使用する絵の具の特徴を理解して、
メディウムを上手に取り入れると、
表現できる幅がさらに広がります。
まとめ
パレットナイフで描く半抽象画は、
思い通りにならない偶然の形まで、
作品の魅力に変えられる表現です。
最初から完成度を求めすぎないで、
絵の具の動きや重なりを楽しむと、
自分らしいタッチが見えてきます。
まずは小さな紙やキャンバスで、
気軽にナイフを動かしてみてください。
描き続けるうちに力加減が分かり、
筆とは違う表現の面白さを、
少しずつ感じられると思います。
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